2020.10.07 姥ヶ平の紅葉 (その2)




■ 大噴〜無間地獄




そんなわけで姥ヶ平方面を眺めてみる。

…おお、それなりにいい感じで染まっているではないか。写真右奥の高地部分=日の出からこちら側の斜面が赤くなっている部分が季節風の当たる壁面で、周囲に比べると明らかに紅葉の進行が速いことが見て取れる。




ちなみに手前側の緑色の絨毯はハイマツとガンコウラン(高山植物)で、紅葉はしない。活火山である茶臼岳は噴火のたびに周辺の樹木が焼かれて植生がリセットされてしまうので、火口からの距離に応じて植物の分布が異なっている。秋になると紅葉の具合でそれが目に見え、なかなかに面白い。




ということで、さっそく鉱山時代の採掘現場 "大噴" の横をすりぬけていく。




この付近は硫黄の結晶がたくさん分布していて見どころがあるのだが、今回は時間がないのでスルーして行こう。




やがて現在も噴煙を上げ続けている "無間地獄" にさしかかる。この付近は姥ヶ平見下ろすにはよいポジションだ。




望遠レンズで木々の様子をみると、期待通りにふさふさと茂った葉が美しい。紅葉の名所と呼ばれるところは日本全国にいくつもあるけれど、こういう吹きさらしの斜面にあるスポットは台風や大雨に襲われると簡単に枝や葉が落とされてしまい、すぐに傷んでしまう。だから気候が安定して夏の日差しが強く、秋にあまり大荒れせずに気温が低下した年はとても貴重なのだ。




それにしても、ずいぶん雲が晴れてきれいな青空が広がったな。 避難小屋で待機せずに強行突破で来ていたら、この青空は得られなかった。やはり待って正解だったな。




さてそろそろ牛ヶ首の峠が見えてきた。向こう側の日の出平方面もいい感じに染まっているけれど、はやり今回は見送ろう。



 

■ 姥ヶ坂を下る




やがて牛ヶ首の直前で "姥ヶ坂" の標識が現れる。最近つけられた地名なので筆者的にはまだ違和感があるのだが(笑)、まあ分かりやすいといえば分かりやすい。ここから500mほど下ると姥ヶ平である。




そんな次第で、そそくさと下っていこう。なにしろ現在は晴れ間がのぞいているが、見ればわかる通り次の雲塊がもうそこまで迫ってきている。視界が得られる時間帯は短いであろうから、時間は有効に使おう。




牛ヶ首付近から見下ろす紅葉は、ちょうど森林限界の境界にあたっていることから荒涼とした岩場の景観と色づく木々の対比が面白い。




さらには周囲に高木が無いので視界を遮るものがない。平地の紅葉名所とくらべて山岳地、それも火山から見下ろす那須姥ヶ平の風景は、この点でカメラマンにとってはとてもありがたい要素に満ちている。




さて現在は歩きやすいように人の手で整備されている "姥ヶ坂" だけれども、もともとここは茶臼岳から流れ下る雨水の通り道で、普段は水が無いいわゆる涸れ沢である。




その流れ下った雨水が溜まる池のような砂地のエリアが姥ヶ平の中心部で、とくに人が手入れをしなくても東西70m、南北50m程度の天然の庭園のような状態になっている。




ここはかつて茶臼岳の噴煙を地獄に見立てて奪衣婆の石像が祀られたことから姥ヶ平と称するようになった。紅葉の見事さと茶臼岳の噴煙を見通す景観のよさから、現在も下野国を代表する観光名所のひとつとなっている。




その坂を下る途中、いい感じの満天星(ドウダン)の紅葉がみられたので一枚撮ってみた。那須の山々はこの満天星がとても多く、山肌が一面の赤色に染まるところに特徴がある。




こちらは楓の仲間。それにしても、一見して葉の状態がとてもきれいなことに驚く。 台風がバンバンやってくる年だと紅葉が始まる前に半分以上の葉が落とされて、残った葉もボロボロになっていることが多い。それに比べたら今年の安定具合は別格ではないだろうか。


【つづく】