2014.05.03 新緑の那須を周遊する:前篇(その1)




新緑がイイカンジになってきたので周遊してみました (´・ω・`)ノ



世の中はゴールデンウィークとやらに突入したようで、今年は景気が上向いてきたこともあって観光地では壮大な混雑が予想されているらしい。…が、だからといって混雑を避けて家に引き籠ってばかりいるのも勿体ないので、今年も観光客の少ない時間帯&コースで新緑の風景を眺めてみた。

今回の周遊ルートは旧湯津上村から矢板を経由して、r30界隈を進みながら福島県との県境付近までを巡っていくものだ。総距離70kmほどにもなるコースだが、この界隈はGWの混雑期にあっても半日程度で比較的ゆったりと回ることができる。主な経由地は以下のとおりである。

・大野放牧場
・長峰公園
・金沢~関谷~木綿畑の開拓農地
・那須フラワーワールド
・綱子(黒川)




 

■ 大野放牧場




そんな訳で午前5時頃にゆるゆると出発して一路大田原に向かう。何故そんな時間に出発するのかというと、単純に混雑対策(※)であって他にこれといった理由はない(^^;)

春になって日も長くなり、本日5/3の日の出の時刻は新聞によると午前4時38分であるらしい。…といってもこれは水平線が基準の時刻であって、内陸部では山の端から太陽が顔を覗かせるまでに若干のタイムラグがある。水が張られたばかりの水田は、まだ幾分トワイライトの雰囲気を残しつつ、明けていく空の様子を映していた。遠くでは鳥の声が聴こえる。…静かでいい春の朝である。

※あまり欲張らないで1~2か所を訪ねるだけならもっと遅くても十分間に合うのだが、まあそこはそれw



さて今回の最初の目的地は大野放牧場である。ここは那須野ヶ原の最南端部にある品川台地の頂上付近にある酪農地帯で、一般に "平坦地" と思われている那須野ヶ原の中では珍しく起伏に富んだ地形がみられる。わかりやすく標高を3倍に強調して俯瞰図を作ると上図(↑)のような状況だ。

ここは那珂川と箒川の浸食の狭間で "削り残し" のように残った丘陵地で、周辺の河床水準から30~50mあまり高くなっているため水が引けず、明治、大正、昭和と時が移っても水田は作られなかった。現在では広々とした牧草地が広がって、牛の放牧場と運動公園になっている。




那須塩原駅からr53を南下し、コンビニで朝飯を調達しながらゆるゆると行くと、5:30頃にはもう湯津上に到着。朝日は過剰なくらいに爽やかである。

…が、逆光条件だとやはり眩しい(^^;) こりゃ 「あっちっ向いてホイ」 式に太陽を避けつつ撮るのが得策かな。




筆者は湯津上というと普段は那珂川沿いの古墳コースばかり走っていて、品川台地に登る機会というのは実はそれほど多くなかった。しかし改めて眺めてみると、これがナカナカにイケている。なにより広々感が素晴らしい。




牧草は青々と繁茂して、季節の進み方は那須高原よりも幾分早いようだ。

これはおそらく標高差が関係しているのだろう。那須高原がおおよそ海抜300~800mくらいなのに対し、品川台地は高いところでも同150mくらいしかない。わずか数百メートルでそんなに違うものなのか…ということについては、これから高原の方に走っていくので追々見えてくると思う。




キャンプ場をかすめながら丘陵をのぼり切ると、放牧場の看板がみえた。ここが一番の高台にあたるようで、四方に視界が良く効く。




おお、ひろびろ~ヽ(´ー`)ノ



大田原市(旧湯津上/黒羽地区を含む)はマクロ的には稲作農村地帯ということになるのだが、この台地周辺だけは大海にうかぶ島のように "牧歌的雰囲気" がぽっかりと浮かんでいる。合併前の湯津上村はここにレジャー客を呼び込みたかったらしく、温泉施設にレストラン、売店、そしてオートキャンプ場などを整備した。近隣のなかがわ水遊園、傘石神社(那須国造碑)、上下侍塚古墳などと組み合わせると実は結構な周遊コースになっていて、休日にゆったりと過ごすには面白いところといえる。




…といっても、さすがにこの時間だと誰もいないな(笑)




あたりをいくらか散策してみると、足元にタンポポの綿帽子が密集していた。那須塩原市の山沿いではまだ黄色い花が咲いているのだが、やはり標高差のためかこちらは季節の進み方が微妙に早いらしい。




そんな綿帽子のアップを一枚。…そういえばカメラを手にしたばかりの頃は、こういう無国籍風な写真ばかり撮っていた時代があったなぁ。




調子に乗って葉桜のアップも撮ってみる。




ぐいっと寄って逆光でみると、葉脈の走り方が美しい。季節が進むと日差しで "葉焼け" を起こしたり虫に食われたり謎のウィルスに感染(^^;)して穴が開いたり…と、意外に桜の葉っぱは傷みやすい。こういう綺麗な状態が見られるのは新緑の時期ならではのものである。



 

■ 牛のいる風景




さてせっかくの放牧場なので牛を探してみると、遥かあっちのほうで草を食んでいるのが見えた。うーん…これだと、向こう側の道路からアプローチしたほうが良かったかな(笑)

彼らは一見するとバラバラのようでいて、なんとなく集団になっている。牛の友人関係とかヒエラルキーというのは筆者にはよく分からないのだが(笑)、その集団もどうやらいくつかの派閥に分かれて行動しているようだ。どれか一頭がのそのそと動き出すと、メンバーらしい牛がついて動いていく。




やがて誰が引率している訳でもないのに派閥のひとつが水場にやってきた。高台にある放牧場には自然の河川はないので、いちいち水場が用意されている。ある程度草を食んだ牛は、ここにやってきてたらふく水を飲み、ふたたび草を食みに戻っていくのである。

※面白いことに牛は混雑しない程度の人口(牛口?)密度でうまいこと交代していて、その社会性はとても成熟している。このあたりは押すな押すなで撮影スポットやらキャンギャルやらに殺到する不作法なカメコ諸氏にも学んで頂きたいところだ(^^;)




牧場で飼われているせいか、彼ら(彼女ら)は実に人懐っこい。人間が来ると興味津々で寄ってきて、視線を合わせてくる。畜産業の中の人に言わせるとこのとき目の高さが重要らしく、中腰になって人間側が牛の目線と同じかそれ以下の水準になると牛は親近感を感じて容易に寄ってくるそうだ。




ちなみに彼らのコミュニケーションは鼻先で行われる。相手が人間でも要領は一緒のようで、もごもごと鼻先を近づけてきては 「フンガー!=3」 っと鼻息をかけてくる。牛の肺活量は人間の比ではないので心の準備のないままにこの洗礼を浴びるとその風圧の "フンガー具合" (なんだそりゃ)に驚くかもしれないw

※余談になるけれども飼育者が普段から牛に対して真摯に接していないと、人間に対する警戒心が解かれずこうはならないらしい。牛や馬の振る舞いは酪農家の中の人の日々の行いを写す鏡でもあるようだ。




それにしても牛が集まりすぎw
…こらこら、カメラは餌じゃないってば(笑) …フンガー!( ̄▽ ̄;)




…さて牛との第三種接近遭遇はこのあたりにして、放牧場の周囲をぐるりと回りながらもう少々風景を眺めてみた。なかなか男前の立木などもあるのだが、この時間帯だと光線具合がほぼ真横なのでやはり撮影アングルは限られるようだ。




そんな訳で、順光に近い無難な方角で遠景を撮って、ここでのファイナルカットとしよう。

…それにしても、この面積にこの牛の数というのは、何と贅沢な飼い方なのだろう。日本の畜産業って本当に真っ正直というか、狭いところにギュウギュウ詰め方式とは無縁なのだなぁ(´・ω・`)

※ちなみに海の向こうのオバマ合衆国では、牛はこんな悠長な飼われ方はしていない。効率優先、利益優先の "糖蜜飼育" が広く行われていて、その実態を知ると(中略)


<つづく>